のんびり

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安房直子「きつねの窓」 童話

こんにちは、ささやまのどかです。

書きたいけど書けない。

こういう時はやっぱり、好きな本のことを書いて心を落ち着かせようと思います。[rakuten:book:10515554:detail]

 「つきよに」 安房直子 作/南塚直子 絵

 

この中に「きつねの窓」というお話が入っています。大好きなお話です。 

自分が小学生時代、国語の教科書に載っていてとても印象に残っていました。

大人になってから調べて、作者の安房直子さんの本を何冊か買いました。

 

ひとりぼっちの、猟師と子ぎつねのお話です。

「きつねの窓」はこんなふうに始まります。

 

いつでしたか、山で道に迷ったときの話です。ぼくは、自分の山小屋にもどるところでした。歩きなれた山道を、てっぽうをかついで、ぽんやり歩いていました。そう、あのときは、まったくぼんやりしていたのです。昔大好きだった女の子のことなんかを、とりとめなく考えながら。

道を一つ曲がったとき、ふと、空がとてもまぶしいと思いました。まるで、みがきあげられた青いガラスのように‥‥。すると、地面も、なんだか、うっすらと青いのでした。

「あれ?」

一しゅん、ぼくは立ちすくみました。まばたきを、二つばかりしました。ああ、そこは、いつもの見なれたすぎ林ではなく、ひろびろとした野原なのでした。それも、一面、青いききょうの花畑なのでした。

 

安房直子さんの色の表現と、優しくて悲しい感じのする文章が好きです。

安房直子さんのお話には、さまざまな色がでてきます。 色にとてもこだわりのある方なんだと思います。

 

この青いききょうの花畑で、“ぼく”は、子ぎつねを見つけて追いかけます。きつねの巣を見つけて親ぎつねをしとめるために。

すると「染めもの ききょう屋」というお店を見つけます。

そこには人間の子供に化けた子ぎつねが店番をしていました。

 

その子供は、“ぼく”に 指を染めることを勧めます。

断る“ぼく”に、子供は自分の青く染めた指で、ひし形の窓をつくります。

窓の中には白いきつねの姿が見えるのです。  

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それは、みごとな母ぎつねでした。しっぽをゆらりと立てて、じっとすわっています。それは、ちょうど窓の中に、一枚のきつねの絵が、ぴたりとはめこまれているような感じなのです。

 

子供は、自分の正体がばれたことも忘れて「これ、ぼくの母さんです」と説明します。

お母さんは昔、てっぽうで撃たれて死んだけれど、 染めた指で窓をつくれば、いつでもお母さんの姿を見ることができるから寂しくない、と。

 

“ぼく”はすっかり羨ましくなって、指を染めてもらいます。

すると、昔大好きだった、そして今はもう決して会うこのできない少女の姿が見えました。

子ぎつねが、指を染めたお礼に要求したのは、てっぽうでした。

 

“ぼく”は帰り道にもう一度窓をつくります。

今度は昔の自分の家と庭が見えます。

 

フ―ッと、大きなため息をついて、ぼくは両手をおろしました。なんだか、とてもせつなくなりました。 子どものころの、ぼくの家は焼けたのです。あの庭は、いまはもう、ないのです。

それにしても、ぼくはまったくすてきな指をもちました。この指はいつまでも大切にしたいと思いながら、ぼくは林の道を歩いていきました。

 

結末は、情景がリアルで目に浮かぶようです。

安房直子さんの、最後の現実に戻る描写とかが、本当にそんな人がいるんじゃないかという気持ちになれて好きです。

 

安房さんの美しい文章が、たくさんの人に読まれ続けるといいなと思います。

「つきよに」に載っている他の安房作品も素敵なので又書きたいです。

 

安房直子さん「きつねの窓」の話、でした!

 

 

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